旧日本海軍の戦艦、空母や航空機などについて簡単にご紹介します


重巡 足柄

重巡洋艦 足柄【妙高型重巡洋艦 三番艦】
Heavy Cruiser  ASHIGARA 【MYOKO-class Heavy Cruiser  3rd】


参考資料 『写真・太平洋戦争の日本軍艦 [大型艦篇][軽艦艇篇]』(阿部安雄・中川勉)
起工日 進水日 竣工日 退役日(沈没)
バンガ海峡
建 造
1925年4月11日 1928年4月22日 1929年8月20日 1945年6月8日 川 崎 造 船 所
基準排水量 全 長 全 幅 速 度 馬 力
① 10,000t
② 13,000t
① 203.76m
① 19.00m
① 35.5ノット
② 33.9ノット
① 130,000馬力
② 132,830馬力
①1929年竣工時  ②1940年(第二次改装完了後)

「飢えた狼」 彼女こそが真の重巡だ 足柄


「妙高型重巡洋艦」の三番艦として誕生した【足柄】で断トツに有名なエピソードは、やはり「飢えた狼」でしょう。
世界最新鋭の重巡として誕生してから8年、【足柄】はイギリスの「ジョージ6世戴冠記念観艦式」に日本代表として参加、遠いイギリスまで航行に出ます。

イギリスでその姿を披露した【足柄】は、参加したヨーロッパの人たちから

「なんてスマートな造りなんだ、まるで飢えた狼のようだ」
「私達は今日はじめて本物の軍艦を見た。今まで見てきたのは客船だった」


と評価されました。
日本では狼でイメージするものが「精悍」であったり「強者」であったりと、簡単に言えば「かっこいい」ので、この言葉をまじめに受け止めて喜びました。
ですがこれはイギリスらしいジョークで、真意は

「なんてスマート(ガリガリ)な造りなんだ、まるで飢えた狼のよう(に戦うことばかり考えているよう)だ」
「私達は今日はじめて本物の軍艦を見た。今まで見てきたのは客船(のような居住性の高い船)だった」


というものでした。
要は「戦闘特化すぎて品がなく、美しくない」という意味です。
イギリスは植民地支配などにより遠方まで大人数で航行することがメインだったので、その長い海上生活のために環境は整備するのが当然でした。
日本は植民地も存在せず、またそれほどの大航海をすることもなかったため、戦闘特化で居住性皆無に文句は出ても、大問題にはなりませんでした。
(世界的に見ても、特にこの時期で居住性が配慮されている軍艦はイギリスぐらいでした。)
このような両国の差があったとはいえ、その武骨で戦闘に相応しい風体をした【足柄】は、イギリスにはあまりにも強そうな軍艦に見えたようです。

ちなみに「妙高型」は、設計の段階で居住性が損なわれたために大型化しています。
全く居住性を無視したということはありません。

まさに飢えた狼 海上を駆け巡り、戦に燃えた足柄


その後も【足柄】は、座礁した米客船の乗客の救助に向かうなど、国際交流が目立った軍艦でした。

太平洋戦争勃発後も、【足柄】は存在感が衰えることはありません。
「妙高型」四姉妹で挑んだ「スラバヤ沖海戦」では、協力して連合軍の軍艦を8隻沈没させるなど、大勝利をあげます。

その後は第十六戦隊旗艦としてシンガポール周辺で走り回ります。
任務は戦闘ではなく、輸送・警備・護衛などでしたが、それを忠実にこなしていきました。

1944年、【足柄】は第五艦隊に転属し、再び戦場へと身を投じます。
「レイテ沖海戦」では、【足柄】とともに志摩艦隊の一員として、米軍との戦闘に勝利したと伝え聞いている、先行した西村艦隊の援護に向かいます。
しかし戦場で起こっていたのは、【扶桑・山城】の大炎上。
日本はすでに敗北していました。
加えて【那智】【最上】の衝突事故、【阿武隈】の被雷、敵を討とうにも、ここでの突撃は無駄な被害を生むだけでした。
やむなく撤退するも、衝突によって損傷した【那智】は、マニラ湾で撃沈されてしまいます。

【足柄】はその後、「礼号作戦」に参加し、フィリピンのミンドロ島を襲撃します。
空襲による爆撃を一発受けて中破するものの(B-25が突っ込んだとも言われています)、魚雷に引火する前に消火ができたため、航行にも問題はありませんでした。
道中、【清霜】が魚雷を受けて沈没してしまいますが、【足柄】は輸送船1隻を大破させ、さらに海岸へ砲弾を撃ち込み、上陸拠点や物資などを焼きつくすことに成功します。

「礼号作戦」は、帝国海軍が勝利を収めた最後の作戦でした。

終戦の2ヶ月前の6月、【足柄】はシンガポールへ陸軍兵士を輸送していました。
しかしその道中、【英潜水艦 トレンチャント】が忍び寄り魚雷を【足柄】へ発射。
6本中4本が【足柄】に命中します。
【足柄】はもう少しで【神風】と合流するところで、被雷した時は単艦航行だったため、対潜警戒が十分ではありませんでした。
【足柄】はそれでもギリギリ踏みとどまっていました。
しかしすぐ近くに潜水艦がいます、対潜装備がなく、しかも先制攻撃を受けた状態では撃沈されるのは時間の問題でした。
すみやかに総員退去命令が出されます。
この判断は正解で、4発の魚雷を受けてからしばらくもしないうちにさらに1発を受けます。

幸い【トレンチャント】【足柄】の沈没を見届けることなく撤退したため、また【神風】が救助に現れたため、乗員のほとんどが救出されました。
この【神風】は、つい1ヶ月前に沈没した【羽黒】の乗員も救助しています。

いわゆる大戦果がないため目立ちませんが、【足柄】は数多くの任務をこなし、損傷も少なく、さらに終戦直前まで奮闘した功労艦です。


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