旧日本海軍の戦艦、空母や航空機などについて簡単にご紹介します


択捉型海防艦 福江

択捉型海防艦
Escort ship 【Etorofu class】


参考資料 『写真・太平洋戦争の日本軍艦 [大型艦篇][軽艦艇篇]』(阿部安雄・中川勉)
一番艦
起工日
一番艦
進水日
一番艦
竣工日
同型艦数 次 級
1942年3月23日 1943年1月29日 1943年5月15日 14隻 御蔵型海防艦
基準排水量 全 長 全 幅 速 度 馬 力
870t 77.7m 9.1m 19.7ノット 4,200馬力







占守型を微改良 しかしすべき事がなされていない択捉型


「占守型」の1番艦【占守】が竣工してから1年ほど経過した1941年。
いよいよ日米開戦が目前に迫り、あとはいつどのように開戦するか、それだけの問題でした。
日本としては数で敵うわけがないアメリカを相手に、奇襲を中心とした先手必勝を可能な限り続け、早期に講話に持ち込みたいという意図があり、その第一の目標は資源の豊富な南方海域でした。
どうあがいても自国で資源を調達できない日本にとって、このフィリピンやインドネシア方面は絶対に譲れない要所中の要所でした。

さて、そんな南方海域での戦略を練るうちに、日本はある問題に直面します。
輸送船団の護衛艦が圧倒的に不足していたのです。
小さな島で籠城して戦うわけではありません、燃料・武器・食料・人・戦車・船、なんでもあちこちへ移動させる必要があります。
海上戦はもはや敵艦隊と砲撃戦を交わすだけではないのです。

護衛に関しては駆逐艦はうってつけではありますが、そもそも護衛に駆逐艦を回せるほど戦力は豊富ではありません。
先述の通り、数で敵わないアメリカと戦争するのに、駆逐艦を輸送に使えるような余裕はありません。
戦える船はすべて戦場に注ぎ込みたいと考えるのは当然でした。

なれば、護衛艦を手配する必要があります。
そこで候補となったのが、当初対ソ漁船護衛艦として誕生し、どういうわけか無駄に優秀な船になった「占守型海防艦」でした。
この頃すでに日本は仏印進駐(フランス領インドシナへの進駐)を開始しており、この護衛艦の建造は一刻を争う緊急事案でした。
今から新規海防艦を設計している暇もなく、船の性能は良好だった「占守型」を一部改良して量産させることになったのです。

1941年8月、「夕雲型駆逐艦」「秋月型駆逐艦」など、緊急性が如実に現れている「マル急計画」が実行に移されます。
この中に「占守型」の改良版となる「択捉型海防艦」も14隻含まれていました。

ただしこの「択捉型」、時間がなさすぎてほとんど「占守型」と変わっていないのが実情です。
「占守型」はいい船ではありましたが、それはあくまで漁船護衛としての話。
戦火の中を進む船団の護衛艦に求められるものを持っていたかと言われると、それは強いてあげるなら航続距離ぐらいでした。
爆雷搭載数こそ倍増の36個ですが、もともと「占守型」が量産に向いていない複雑な構造だったため、それをいくら簡略化したところでたかが知れていました。
一部の簡略化と直線化、また軍艦籍から廃されたことによる居住空間の簡素化なども行い、工数は「占守型」の約9万から約7万まで削減できましたが、建造期間はまさかの11ヶ月。
11ヶ月というと、全長が倍近い「秋月型」とほとんど変わりません。
戦時急造という中での設計流用なのに、こんなに時間がかかっていては元も子もありません。
さらに南方海域用に建造されているのに、「占守型」に搭載されていた暖房用の補助缶が残されたままという有様でした。

また、そもそも本格的な海防艦の役割についても不鮮明だった日本は、武装でも改善の余地を多く残しています。
爆雷は上記の通り増やしはしましたが、電探水中聴音機の装備は貧弱で(これは海防艦以外でもそうですが)、急速に勢力が強まった航空機対策としての機銃は「占守型」と変わらず25mm連装機銃2基のみ。
順次交換はされていったものの、初期型の装備が護衛に足るものかと言われれば否でした。

このように、状況に応じた存在とは決して言えなかった「択捉型」は30隻の計画に対して14隻で建造終了。
しかし激戦地での運用という側面もあって、終戦時に残存していたのは5隻のみ。
護衛艦としての任務を果たす力を有した「海防艦」は、次の「御蔵型海防艦」からが当てはまります。


『択捉型海防艦 一覧』
【択捉】えとろふ
【松輪】まつわ
【佐渡】さど
【隠岐】おき
【六連】むつれ
【壱岐】いき
【対馬】つしま
【若宮】わかみや
【平戸】ひらと
【福江】ふかえ
【天草】あまくさ
【満珠】まんじゅ
【干珠】かんじゅ
【笠戸】かさど


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