旧日本海軍の戦艦、空母や航空機などについて簡単にご紹介します


駆逐艦 槇

駆逐艦 槇【松型駆逐艦 八番艦】
Destroyer  MAKI【MATSU-class Destroyer 8th】


参考資料 『写真・太平洋戦争の日本軍艦 [大型艦篇][軽艦艇篇]』(阿部安雄・中川勉)
起工日 進水日 竣工日 退役日(解体) 建 造
1944年2月19日 1944年6月10日 1944年8月10日 1947年8月14日以降 舞鶴海軍工廠
基準排水量 全 長 全 幅 速 度 馬 力
1,262t 100.0m 9.35m 27.8ノット 19,000馬力






戦争末期、日本の儚い夢の実現のために尽力した槇


【槇】は八番艦ですが、六番艦【桐】、七番艦【杉】よりも早い竣工でした。
竣工後は他の「松型」同様、第十一水雷戦隊で訓練を積み、そして10月中旬、「捷一号作戦」によるレイテ島の制圧に参加することが決定します。
【槇】は通称小沢艦隊と呼ばれる機動部隊、つまりレイテ島突入の本隊を守るために囮を買って出る部隊の一員となりました。

10月20日、小沢艦隊は日本を出発し、そして5日後の25日、「エンガノ岬沖海戦」が勃発します。
しかし24日には「シブヤン海海戦」がおこっており、囮というよりは戦力の分散をしたに留まることになります。
そして「エンガノ岬沖海戦」ではここまで第一航空戦隊を率いてきた【瑞鶴】をはじめ、虎の子の空母の殆どを失ってしまいました。
【槇】【千歳・千代田】の護衛についていましたが、【千歳】と護衛の【秋月】が相次いで沈没し、【槇】【秋月】の乗員の救助を行いました。
第二波の空襲によって、続いて【千代田】も被弾。
【五十鈴】が救援に向かったのですが、その【五十鈴】も被弾のために救援が満足にできなくなったと判断した【槇】は、自身も【千代田】の救援に向かいました。
しかし【槇】もやはり空襲の被害にあい、3発の爆弾を受けて31名の命が失われました。

【千歳・千代田】【瑞鳳】も沈み、「エンガノ岬沖海戦」は完敗。
【槇】「レイテ沖海戦」の終結を見る前に戦場を後にし、29日に呉へと戻ってきました。
呉での修理を終えた【槇】は、未だレイテ奪還の夢を捨てきれない日本の願いを叶えるため、「多号作戦」とはまた違う形で輸送作戦を行うことになりました。
壊滅状態の機動部隊の中、載せる機体がなかったという理由で「レイテ沖海戦」に不参加だった【隼鷹】に弾薬や物資を搭載し、輸送部隊はマニラを目指します。
すでに1回目は【槇】が呉に戻ってくる前に出発しており、【槇】は11月23日出発に2回目の輸送任務に参加しました。

2回目の輸送任務も無事終了し、【槇】【隼鷹】や他の護衛艦とともに12月3日に馬公に入港。
「金剛型」唯一の生き残りである【榛名】と合流し、6日に馬公を出発しました。
そして9日、佐世保に入港する少し前、不幸が起こります。
ここまで難を逃れてきた輸送部隊が、米潜水艦隊の標的となってしまうのです。
【隼鷹】は3隻の潜水艦が放った魚雷のうち2発が艦首と右舷に直撃し、転覆こそ防げましたが18度傾斜し、速度も13ノットにまで低下してしまいました。

この時【槇】は、【隼鷹】の前を航行していました。
しかし【榛名】からの指示により【隼鷹】の後ろにつくこととなったために反転、【隼鷹】の右側を通って後ろに回ろうとしたところに潜水艦からの魚雷を探知しました。
魚雷の航跡からこのままでは【隼鷹】に直撃すると判断した【槇】は、それを防ぐために敢えて自ら魚雷に向かっていったと言われています。
しかし土手っ腹に受けてしまえば小さな駆逐艦の体躯は一気に破壊されます。
魚雷を受けるなら、被害が最も少ない艦首。
そして【槇】は、目論見通り艦首側面で魚雷を受け止めます。
機関も守られ、浸水も軽微、艦首亡失ながらも【槇】は無事に難局を乗り切り、佐世保へと入港しました。
入港後、【隼鷹】の乗員からの感謝の言葉が耐えなかったそうです。

【槇】は3月15日まで長崎で修理を受け、修理後は呉へと回航されます。
そして4月6日、玉砕覚悟の「天一号作戦」による【大和】と二水戦の沖縄防衛に向け、【槇】【榧・花月】とともに豊後水道の出口まで艦隊を護衛。
死出の旅へ向かう帝国海軍最後の夢を見送りました。

儚く散った【大和】の訃報を受けとめ、【槇】は呉の海でじっと待ち続けました。
何度かの空襲で対空射撃を行いましたが、【槇】は終戦まで空襲による被害をうけることはありませんでした。
そして8月15日、玉音放送が流れます。
復員輸送に従事した後、【槇】はイギリスに引き渡されましたが、しばらくもしないうちに解体されました。


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